【埋葬の形】漢字から習う|本来の意味を持つお墓

「墓」という漢字は3000年以上前に中国で生まれました。
分解すると「莫」と「土」で成り立っていることが分かります。
「莫」は「覆う」という意味、「土」は「土」そのもの。
つまり、死者を土で覆うのが「墓」なのです。
日本ではほぼ土葬が無くなりましたが、古代の埋葬の概念は現代にもしっかりと受け継がれています。
世界最古の埋葬例

近年の調査によると、13万年前~10万年前頃の埋葬例が各地で確認されています。
例えば、イスラエルのカフゼー洞窟では16体の子供の人骨、シリアのデデリエ洞窟では子供3体と大人1体の人骨が発掘されています。
いずれも「洞窟内」という点が重要で、そこを土で覆ったり石で蓋をしたからこそ、動物に荒らされることなく何万年も残った、ということになります。
さらに、イラクのシャニダール洞窟では多種類の花粉が発見されており、「死者に花を手向ける」という文化的な弔いがあったことが私たちの心を打ちます。
つまり、10万年前のネアンデルタール人は「埋葬」の意識を持っていたことが明らかなのです。
日本最古の埋葬例
日本最古の埋葬例です。
沖縄県のサキタリ洞窟で埋葬人骨が発見され、旧石器時代(2~3万年前)の成人である可能性が高いとされています。
日本列島は土壌が酸性なので人骨が溶けてしまうという性質があり、サンゴ礁や貝塚など土中のカルシウム濃度が高くないと残らないそうです。
そんな中でも、長野県の北村遺跡では縄文時代(4500年~3300年前)の埋葬人骨が発見されており、それは死者の頭部に甕(カメ)を被せたり、石を抱かせたり、と人為的な処理が行われていました。
それより新しくなると、人骨の下にスギなどの板材が敷かれていたり、白砂や赤土が撒かれていたりと、人間的な優しさが見えるようになります。
「墓」という漢字の伝来

中国からの漢字の伝来は1世紀ごろ(弥生時代)と推定されています。
「墓」という漢字が中国で生まれるはるか昔から、世界でも日本でも「死者を土で莫う(覆う)」という文化があったことは、前項の通りです。
ですから、「墓」という漢字が伝来した時、日本人は違和感なく受け入れたのではないでしょうか。
近現代のお墓

明治30年代までは、墓穴に座棺を埋葬して土で覆う「土葬」が主体で、その上に魂の「依り代」として石塔を建てました。
よく、何か良からぬことをした時、周りから「死んだお母さんが浮かばれないよ(成仏できないよ)」なんて言われたりします。
では、無事に浮かんだ魂はどうなるのかというと、この石塔へ宿ります。
ですから石塔は絶対必要で、私たちはここに向かって手を合わせるのです。

明治40年以降には火葬が主となり、現在の火葬率は99.9%です。
(ごく稀に、死産の胎児、離島、キリスト教などの土葬がある。)
現在は、焼骨を骨壺か骨袋に入れたまま、お墓のカロート(納骨室)に納骨します。
お墓の根本である「土」で「莫す」という「墓」の意味を持たせるため、私たちが建てるお墓や永代供養塔のカロートの下はコンクリートを打たず(全面もしくは一部)、大地とつながるようにしてあります。

弔い上げ(三十三回忌もしくは五十回忌が終わった)となったお骨はここに撒くので、自分の家のお墓の中で、家族と共にゆっくりと土に還っていけるわけです。
そうすると納骨室にスペースができるので、また次の家族を納骨し、また時期がきて弔い上げとなったお骨を土に撒き…と繰り返しながら、お墓は子孫に代々引き継がれていきます。
これが、本来の意味を持った現代のお墓です。
お墓選びの参考に

現在のお墓は従来の縦型(和型)が定番ですが、横型(洋型)も好まれて増えてきました。
青や赤の石、墓石の形(デザイン)、彫る文字に自由度が増しているからです。
大切なのは、前項で述べた「本来の意味を持ったお墓」であること。
縱でも横でも赤でも北向きでも、その形状は問題ではなく、
「大地とのつながり」と、「魂の依り代である石塔の有無」が大事なのです。
もし承継者がいなくてお墓を建てられないのなら、お寺さんの永代供養墓に入るのが一番です。
間違いなく追善供養をしていただけます。
(追善供養の重要さについてはこちら)
ロッカー式によくある、「30年後に取り出して、あっちに合祀します」と、また動かされたり、工場で粉にされることもありません。
(「〇〇年保管」という納骨堂に疑問。本当に〇〇年間保管されるのでしょうか?本人死んでいるので確認できませんよね。世知辛い世の中ですので、安易に選ばないようお気をつけください。)

私たちは必ず死ぬ時がきます。
既に先祖代々のお墓があって承継者がいるなら、そのまま大事にしてください。
そうでないなら、死ぬまでに準備をしてください。それは仏教における「自分の供養の先取り」といって、善い行いとされています。
お墓の本来の意味を知ったうえで、ご自分に合ったお墓が見つかると良いですね。
- おしまい –

お墓は石で出来ています。だから残ります。墓の主が生きた証であり、遥か昔から現在に至るまで、過去に懸命に生きた人がいることを教えてくれます。宗教・国・時代を問わず、お墓から伝わる聲(声)を残していくブログです。
